介護における色彩の大切さ

介護の現場では、清潔感を表す白が使用されることが多いです。しかし、白は人によっては冷たい印象を感じたり、医師の白衣を連想してしまい不安に陥る人もいるので注意が必要です。色彩をうまく取り入れることで、利用者に安全や安心を伝えられます。介護を受けている人のなかで、特に不安感が強かったり、感情的になり興奮しやすい状態になっている人には、寝具や雑貨に青や水色といった寒色系の色を取り入れて気持ちを落ち着かせることが可能です。

明るい色彩を取り入れた場合、コミュニケーションが円滑になりやすい効果があります。色彩を効果的に使用することで、介護がしやすくなるのです。しかし、なかには高齢者に対して使ってはいけない色もあり、それは赤色です。明るくて情熱的な色に感じますが、高齢者にとっては刺激が強すぎて興奮する人もいます。場合によっては血圧が上がるなど健康を害することもあるため、使用には注意が必要です。

認知症の高齢者は、場所の認識が難しい場合もあります。お風呂場やトイレの区別がつかないことや、自分の部屋の位置が分からなくなる場合もあるでしょう。その際に緑や青などを効果的に使用すると、目的の場所に誘導しやすくなります。更に、高齢者は階段の段差を誤って踏み外したり、バランスを崩して転倒したりすることもあります。手すりや段差に色彩を取り入れることで、段差を明確にすることが可能です。この際の注意点は、黒や焦げ茶など判別が難しい色を使わないことです。使用するときには、はっきりと色がわかるものを選択することが大切です。